第56回(2025年度) 日本芸術療法学会学術大会のご案内

第56回(2025年度) 日本芸術療法学会学術大会のご案内

ごあいさつ

大会長 新宮一成(京都大学名誉教授)

第56回大会の大会長を仰せつかることになりました。この56という数字を眺め学会の長い年月を想い、使命の重要さを意識しています。それは、「死者のいのちを生者につなぐ」ということです。よく見れば生きている以上は誰でも何気なくずっとそうしている、とも言える平凡なことで、実は使命とも言えないようなことではないかという気がします。けれど、芸術療法というのは、その平凡なことを、何かあえて懸命に行うということであるように思われます。もしそうしなければ、死者のいのちが生者につながれなくなるという悲しいことが起こるから、その悲しみを先取りし、それをあらかじめずっと癒やし続けているのではないか、そんな問いが湧いてきます。
死んでもいのちはあるのではないか、と考えたことはおありでしょうか? 私はその考えを、高貝弘也さんの詩集の中の「死んでもいのちがありますように」という祈りのことばを読んでから、しばしば、折に触れて持つようになり、今回の学会を開催する立場になって、この問いに導かれて学会のテーマを構想しました。「人のいのちと そのかたち」というテーマです。死んでもいのちがあるとしたら、ではそれは、どんなかたちをしているでしょうか?
高貝さんが詠ういのちは、水辺の葦の茂みで生まれて、そのまま失われてしまったようないのちです。詩集のうちの一冊は、『漂子』と名付けられています。いのちが水に浮かんで漂っている様子を表しているのでしょう。ムーミンは、はっきりどの動物(人間を含め)であるのかが分かりにくいようなかたちをしています。カバに似ていますが、カバではなく、水に浮きそうです。ムーミンの生まれたところも、「漂子」と同じような、水草に花の咲く谷間です。今年、郵便局からムーミン切手が出ました。そのうちの一枚には、そんな誕生の場でムーミンが水面(みなも)のトンボたちの舞をじっと眺めているように見える絵が描かれています。
私はシベリウスの音楽がことのほか好きですが、フィンランドに行ったことはなく、ただ、ヨーロッパへの乗り継ぎの時に、ヘルシンキ空港の通路を歩いたことがあるだけです。でもその通路が、ムーミンであふれかえっているのに仰天し、同時にそのことに慰藉を感じ、その記憶はずっと残っています。ムーミンはもう象徴の世界の住人となり、象徴の常として、増殖するのです。そしてその増殖は日本にも及び、日本人は世界の中でも有数のムーミン好き国民です。そう思うと、オバQやドラえもんは、そのかたちの不定性が、ムーミンに似ています。
象徴に関わることは芸術の特質です。そして芸術の中に含まれている、心に寄り添う力が、人々に癒やしと励ましを与えてきました。ムーミンには、失われたいのちにかたちを与贈する芸術の力が宿っています。そのような力の確かさを実体験する契機が、人の生には何回か訪れます。芸術療法の多様性が百花繚乱となるこの歳末の学会に、皆さまがこぞって参加してくださることを願い、シンポジウムも講演も、人のいのちをそれがどんなかたちをとっているとしても、再び受け入れられるような準備をして、お待ちしております。

大会テーマ
「芸術療法における 人のいのちとそのかたち」

会 場
目白大学 研心館
〒161-8539 東京都新宿区中落合4-31-1 目白大学



日 程
2025年12月20日(土)・12月21日(日)

大会長
新宮 一成(京都大学名誉教授)

副大会長
田中勝博(目白大学名誉教授)

大会本部長
土田恭史(目白大学心理カウンセリングセンター)

大会本部内組織
・(プログラム委員会):新宮一成・田中勝博(委員長)・伊集院清一・高江洲義英・大川ふみ・土田恭史・久保田牧子・山崎郁子
・(大会本部事務局):土田恭史・大川ふみ(目白大学心理カウンセリングセンター)・徳田貴仁(大会本部総務:コンプライアンス,財務監査担当)

プログラム

【大会長講演】
「いのちの一回性と芸術の多様性」
新宮一成

【シンポジウム1】
「太陽体験とアンドロギュヌス」
新宮一成/関則雄/高江洲義英/大川ふみ

【シンポジウム2】
「ひきこもること、いきること」
古橋忠晃/都甲絢子/中澤あすか

【特別講演】
「活(はたら)きとかたちの間──芸術療法における場所的ドラマ創りとは──」
永田鎮也

【メインシンポジウム】
「人のいのちと、そのかたち」
田中勝博/伊集院清一/伊集院由佳/久保田牧子/新宮一成(指定討論)

※その他の企画は決まり次第掲載します

演題応募要領
演題募集期間(予定):2025年7月10日~9月30日

1)発表時間
口頭発表:20分
質疑応答:10分

2)使用機材
発表は原則としてPCを使用してください。音声や映像もプレゼンテーションソフトに入力しておいてください。当日はWindows11のPC、ソフトはPowerpointを使用します。

3)申し込み方法
送付期限:2025年7月10日(木)~9月15日(月)午前11時必着
①演題申し込み:抄録を作成し、添付の上、下記の大会事務局宛にメールでお申込みください。

送付先:第56回芸術療法学会事務局:56thjseat@gmail.com
件 名:「第56回日本芸術療法学会演題申し込み」
本 文:演題タイトル、発表者氏名(ふりがな)、所属、職種、連絡先


②演題抄録:
・B5サイズ1枚
・ヘッダー3行(標題16 pt、氏名12 pt)
・本文は10.5 ptの2段組み
・余白は上下左右いずれも約1.8~2 cm
・共同発表者がいる場合、発表者氏名の前に丸印をつけてください
※演題・氏名・本文は学会で校正させていただきます。過去の学会抄録を参考にしてください。
※お申し込み多数の場合、採否については選考となりますのでご了承ください。

大会参加申し込み要項
参加申し込み開始日:2025年10月1日(水)~2025年12月15日(月)
事前申し込みは、以下のフォームから必要事項を入力し、お申し込みください。お申込み後、入金のご案内のメールを差し上げます。
 第56回芸術療法学会 大会参加事前申し込みフォーム

※期日以降は当日会場にて受付可能ですが、混雑が予想されるため、事前申し込み・お振込みを推奨します。
※お申込み後、参加費・懇親会費の振込先をメールにてご案内します。参加費の入金をもって申込完了とさせていただきます。

参加費
事前申込:会員 7,000円/非会員 8,000円/学生 2,000円
当日参加費:会員 8,000円/非会員 9,000円/学生 3,000円
懇親会費:5,000円
※本大会は、臨床心理士資格認定協会、日本精神神経学会、日本作業療法士協会のポイント取得の対象です。
※周辺に昼食のとれる施設はありませんのであらかじめご用意ください。
※当日はお弁当の販売をいたします(事前予約制)

障害のサポートにつきまして
本大会では、障害のある方へのサポートを導入しております。PCや筆談による情報サポート、視覚ガイドヘルプ(道や建物内案内など)、休憩場所の確保など、ご希望のサポート内容をお知らせください。また、大会会場にはエレベーターがございませんので、車いすのサポート等は一階のみに限らせて頂きます。
サポートの内容を個別にご相談および検討させて頂きますので、事前参加申し込み締め切り日までに大会メールアドレス(56thjseat@gmail.com)までご連絡いただきますようお願い致します。

問い合わせ先
〒113-0033
東京都文京区本郷2-3-4 大東ビル201
日本芸術療法学会事務局
56thjseat@gmail.com
Tel / Fax:03-4361-7661

※お問い合わせは原則メールでお願いいたします