芸術療法研修セミナー2026のご案内

2026年度前期 日本芸術療法学会 主催
芸術療法に関心をもつ専門職および実践者を対象に、芸術療法セミナー2026を開催します。

今年度は「芸術療法と創造性」をテーマに、ワークショップと臨床実践に即した講義を通して、芸術療法の理論と実践に触れていきます。絵画療法、音楽療法、箱庭療法、心理劇、表現病理学に加え、臨床倫理やスーパーヴィジョン、研究への展開も取り上げます。芸術が臨床の場でどのような意味をもち、人の表現や創造性にどのように関与するのかを問い直す機会です。

本セミナーは、日本芸術療法学会認定芸術療法士®の取得に必要な講座です。

【日 時】 2026年 9月 5日(土)・6日(日)
【会 場】 大妻女子大学
      千代田キャンパス 〒102-8357 東京都千代田区三番町12番地

【受講コース】
両コースの受講は芸術療法士資格取得の必須要件に該当します。再受講の方のご参加も歓迎いたします。過去に参加された方にとっても、新たな気づきや実践のアップデートに繋がる内容となるよう構成しております。

・プライマリーコース(基礎編)
芸術療法をこれから学びたい方、体験を通じて基礎から理解したい方におすすめです。
対象者: 初学者、学生、芸術療法に関心のある対人援助職の方など

・アドバンスドコース(実践編)
すでに芸術療法の基礎を学ばれている方や、実践経験を積みつつ専門性を深めたい方に適しています。
対象者: 原則としてプライマリーコース修了者、現場での実践経験がある方など

【プログラム】

【参加費】 芸術療法学会会員:20,000円   非会員:23,000円(税込)
プライマリー/アドバンストどちらかのみのお申込みになります。

【申込方法】 以下のURLからお申込みください。申込後、jspea.kensyu@gmail.comよりご連絡をします。迷惑メールフォルダに分類される場合があるので、メールが届かない場合は御確認ください

https://forms.gle/htbNX678CunBXxND8

申込みが完了しましたら、研修委員会よりご返信いたしますので、指定の銀行口座にお振込みください。お振込が確認でき次第お申込手続きは完了となります。

申込期限:2026年8月26日(水)

臨床心理士ポイント  臨床心理士資格認定協会の認める、関連学会 による「ワークショップ型研修会」として3群のポイント申請の対象です。

【コース概要】

プライマリーコース
芸術療法をこれから学びたい方、
体験を通じて基礎から理解したい方におすすめです。

9月5日
絵画療法──描画を介しての発見とつながり──
 香月菜々子(大妻女子大学)
 土田恭史(ひがしすみだカウンセリングルーム)

本講座では、星と波描画テストと今と将来法を用い、描画を介した対話を体験します。描かれたものを急いで解釈するのではなく、見守り、語り合う過程を通して、自己理解と他者理解が穏やかに生じる場を味わいます。初学者が絵画療法の基本姿勢とケース理解の手がかりを学ぶ機会とします。


見えないものを見る 語られない声に耳を澄ます──「こころ」を体験する心理劇の技法に出会う──
 佐藤 豊(防衛医科大学校)

芸術療法の中でも、心理劇はとてもユニークな技法です。私たちは心のなかにあるさまざまなイメージや対人関係を、この場にともにいる参加者の助けを借りて、心理劇の舞台という「時間と空間を自由に移動できる安全な場」に呼び起こし、見つめ、体験することができます。それは、芸術療法すべてに共通する、人間本来に備わった自然治癒力が動き出す創造的な時間の体験とも言えるでしょう。
ささやかな時間ではありますが、本講義では心理劇の基礎技法の紹介と実践を通じ、心理劇とその世界を参加者の皆さんと体験できればと思っております。


箱庭療法の体験的基礎:物の役割
 兼城賢志(大正大学)

箱庭療法で使用する物は、木箱、砂、自然物、ミニチュア等である。治療者によって創り出される「自由にして保護された空間」において、クライエントはこれらの物を使って内的世界を表現する。この講義では自然物やミニチュアを配置することで、物に心情が宿り、内的世界の一部が表現されることを体験的に学ぶ。模擬制作を行うため、参加者は『小石、枝、葉、人形、お気に入りの物(5㎠以内のサイズ)』を持参すること。


芸術療法の歴史と定義
 伊集院清一(多摩美術大学名誉教授)

芸術療法は、描画や造形などの表現を通して、人のこころのあり方を理解しようとする実践として発展してきた。本講座では、プリンツホルンによる精神病者の描画研究、表現病理学の成立、精神医学と芸術との関係を手がかりに、芸術療法の歴史的背景を概観する。そのうえで、作品そのものの解釈にとどまらず、表現する過程や、表現が治療関係の中でどのように扱われるのかを考え、芸術療法の基本的な定義と臨床的視点を学ぶ。


9月6日
体験から学ぶ音楽療法の基礎知識と実践
 雄鹿賢哉(植草学園大学)

音楽療法のプライマリーコースでは、音楽療法の起源や歴史的背景に触れながら、エビデンスに基づいた音楽療法を実際に体験し、その基本的な考え方や臨床での活用方法について紹介する。そして、身体障害領域や精神障害領域など、それぞれの対象によって異なる介入の視点や関わり方の特徴についても分かりやすく解説する。これらの過程を通して、対象者や場面に応じて臨機応変に活用できる音楽療法の実践技術を修得する。


表現精神病理学(Psychopathe of Expression)とは何か臨床図像学(Clinical Iconography)――
 高江洲義英(いずみ病院)

精神疾患に伴ってくる各種の表現には、それぞれの精神病理学的特色をみてとることができる。たとえば、絵画における描線や色彩の形式分析や描かれた内容や表題による内容分析がある。音楽にも楽曲分析や内容分析を指摘できる。今回は、絵画における図像学的(イコノロジー)変化とその症状との関連を解説する。画家のゴッホ、ムンク、アール・ブリュットのアロイーズやヴェルフリーさらに症例の絵画分析を解説する。


芸術療法研究のはじめ方を考える:ドラマ・心理劇からの試みを手がかりに
 澤田欣吾(東京大学)

本講義では、芸術療法研究における量的研究・質的研究などの研究方法の基本的な特徴と、それぞれの長所や限界を整理する。講師自身が現在、心理劇など演劇的手法による支援実践を、どのように研究へとつなげようとしているかという思考や試行錯誤を紹介しながら、個別性や語りを研究としてどのように捉え得るのかを共に検討する。芸術療法の実践と研究をつなぐ視点を、参加者が自身の実践に引き寄せて考えることを目的とする。


アドバンストコース
すでに芸術療法の基礎を学ばれている方や、実践経験を積みつつ専門性を深めたい方に適しています

9月5日
芸術療法の臨床倫理
 牧瀬英幹(中部大学)

芸術療法を実践する際には、「職業倫理」の7原則に代表されるような「人間の尊厳」を重視する態度が求められ、また、芸術療法に関する研究を進めていく際には、行動規範や研究成果の発表方法などに関する「研究倫理」を十分に理解しておくことが要請される。本研修セミナーでは、芸術療法士が身につけておくべき臨床倫理とはどのようなものかについて、具体的な事例を取り上げながら解説する。


芸術療法のトレーニングとスーパーヴィジョン―芸術療法の実践のために
 新居みちる(山梨英和大学)

「芸術療法の実践」や「芸術療法家の育ち」のために、どのような芸術療法のトレーニングやスーパーヴィジョンが必要なのでしょうか。本講義では、絵画・造形などの視覚芸術を用いた芸術療法をどのように身につけていけば良いのか、今後の学びの道標となるよう芸術療法ならではのトレーニングとスーパーヴィジョンに着目し、クライエント理解のための参加者の「体験ワーク」も含め、概観します。
当日ご持参頂きたいもの:クレヨン、筆記用具、作品を入れてお持ち帰り頂く際の袋・輪ゴム


音楽療法における音楽表現ー事例の経過に見るユーザーズ・エヴィデンス
 久保田牧子(国立病院機構相模原病院)

音楽療法では対象者の目的を達成するために、様々な音楽表現を考えます。音楽のコミュニケーションとしての機能は、音楽表現の中で有効に作用します。アンズデルら(2010)が示したユーザーズ・エヴィデンス7項目では、治療者が考える有効性とは異なることを強調しています。臨床で展開してきた音楽表現の体験を踏まえて、提示した事例の音楽表現の経過から、事例にとってのエヴィデンスを考えていきます。


サープラスリアリティと創造性―異界へ旅する心理劇
 都甲絢子(石神井の森カウンセリングルーム)

心理劇の舞台は、現実には起こらなかった出来事や、いまだ終わっていない物語を、「いま・ここ」で生き直す空間である。モレノが「サープラスリアリティ」と呼んだ「余剰現実」において、人は新たな役割を試み、感情を取り戻し、物語を紡ぎ直していく。この創造的プロセスは、日常の制約を超え、人が本来もつ生命力をも蘇らせる。本講義では心理劇の実践を交えながら、その世界の一端を、みなさんとともに味わっていきたい。


9月6日
絵画療法の実際-飯田病院での展開
 南風原 泰(社会医療法人 栗山会飯田病院)
 
絵画療法のセッションはこうすべきであるという絶対的なマニュアルは存在しないが、心がけるべき点や避けるべき点はあると考える。集団精神療法や芸術療法の先人たちの知見を参考にしつつ、その場が治療的空間となるよう工夫することが重要である。
また、どのような場でどのような人が関わるかなどの環境によっても柔軟なアレンジが求められる。飯田病院精神科で積み重ねてきた絵画療法の実践を、事例を交えてご紹介したい。


文化と創造性―藁から蛇のいのちを組み立てる──土地の文化的伝統と芸術療法──
 新宮一成(京都大学名誉教授)

蛇を神に見立てる村の祀りの儀式では、人々が藁で蛇を作る。村人や神官たちの表情は、「蛇でも神でもないただの藁だと知りつつも、俺はなぜ、こんなに一生懸命にこれを作るのだ? 子どものように」と語っている。己の生活を根本的に疑問に付すような、架空の空間に生きることの不安と喜び。宗教と芸術の原点がそこで重なる。死と生への不安に果てしなく向き合って、有を創り出す。両者とも、紛れもなく療法としての営みである。


創造性と芸術療法―洞窟画から臨床場面へ
 寺沢英理子(ERIカウンセリングルーム)

大昔の洞窟画を鑑賞して、現代の私たちにつながる創造性に思いを馳せ、続いて臨床場面で日々生まれる芸術療法の芽に意識を向けてみたいと思います。クライエントとセラピストのいる臨床の空間では、セッションの数だけ新しい芸術療法技法の芽が誕生しています。これらの芽は、1回で消えていったり、繰り返し使われて技法として残ったりします。このような視点からのお話を少しして、最後に芸術療法の芽を体験するワークを行う予定です。


【お問い合わせ】
日本芸術療法学会 〒113-0033 東京都文京区本郷 2-3-4 大東ビル 201
日本芸術療法学会研修委員会 E-mail: jspea.kensyu@gmail.com